江戸を騒がせたペリー率いる黒船艦隊
静岡県、伊豆半島南東部に位置する下田市。
中世の頃の世界では、なんと下田こそが日本を代表する場所でした。
1853年に黒船が来航し、1854年にペリーによる日米和親条約の締結で開国した日本。そのとき、黒船艦隊をあまり江戸に近い場所に留まらせたくない幕府側の要求として、下田湊(みなと)が開港されました。
長年鎖国していた日本の、最初の開港場となったのが下田だったのです!
1856年に出版された「ペリー 日本遠征記」では、ペリーが同乗させた絵師による下田の風景や、文化なども多数紹介され、下田は中世、世界で一番有名な日本の町となったのです。
そんな日本最初の開港地・下田には、当時の様子を存分に知ることができるミュージアムや、当時の面影がたくさん残っています。この記事ではその一部をご紹介します!
下田開国博物館
下田には、開国当時の様子などを伝える下田開国博物館があります。
この博物館では、開国の様子だけでなく、開国前から下田御番所といい海の関所として賑わっていた下田湊の様子や、下田ゆかりの人物の展示もあります。
また、下田から密航を企てた吉田松陰に関する展示もあり、見どころ満載の博物館です。



ここで展示されているのは日本人から見た外国人や当時の様子だけでなく、外国人から見た日本(下田)の様子もたくさん展示されており、現在の私たちも知らない文化や風習を知ることができます。
当時の下田の人々が外国人にどのように接していたのかなど、教科書ではわからない日本人の様子を知ることができるのも面白いですね。
- 〒415-0024 静岡県下田市4-8-13(伊豆急下田駅より 徒歩10分/車で3分。)
- TEL:0558-23-2500
- 営業時間 8:30~17:30(入館は17:00まで)/休館日 年中無休(臨時休館有り)
- 入場料 大人:1200円 小人:600円 学生証を提示すると1000円 / 他にもセット券がありますので、詳しくはHPをご確認ください。
- 無料駐車場あり/乗用車30台
了仙寺・MoBS黒船ミュージアム・ペリーロード
下田開国博物館のすぐ近くに、ペリーが日米和親条約の細則を決め、「日米下田条約」を結んだ場所、了仙寺(りょうせんじ)があります。
下田開国博物館にも展示されている、「ペリー陸戦隊了仙寺調練の図(ペリー日本遠征記/ハイネ作)」と同じ景色が広がっています。

了仙寺にはMoBS黒船ミュージアムが併設されています。ミュージアム内の黒船シアターでは三種類の映像資料を見ることができ、さらに深く当時の下田の様子を知ることができます。
MoBS黒船ミュージアムでは、絵はがきなどここでしか買えないオリジナルグッズがたくさん販売されており、とっても楽しいですよ!

了仙寺、MoBS黒船ミュージアムに続く道は、ペリーロードと呼ばれています。
下田に上陸したペリーが、300人もの部下を引き連れて歩いた400mほどの道です。昔からの風情が残る素敵な通りで、おしゃれなお店もありますよ。
幕末に思いを馳せながら、のんびり散策するのもいいですね。


- 伊豆・下田 国指定史跡 了仙寺
- 〒415-0023 静岡県下田市七軒町3-12-12
- TEL 0558-22-0657
- 駐車場あり/乗用車40台
- 〒415-0023 静岡県下田市三丁目12-12
- TEL 0558-22-2805(了仙寺)
- 営業時間 8:30~17:00(入館は16:40まで)/ 休館日 12月24〜26日
- 料金 大人-500円 小中高生-250円 シニア-400円 / ショップは無料
玉泉寺・ハリス記念館
下田開国博物館や了仙寺がある市街地エリアから、少し移動した柿崎エリアには、日米修好通商条約を結んだ外交官ハリスに縁のある玉泉寺(ぎょくせんじ)があります。
玉泉寺は初代アメリカ総領事館としても知られ、昭和26年には国指定史跡にもなっています。
境内にはハリス記念館をはじめ、日本初の外国人墓地(ペリー艦隊の乗組員や、安政東海地震の被害にあったロシア船の乗組員)、渋沢栄一が尽力して建てられたハリスの石碑など、見どころがたくさんあります。



ハリス記念館では、ハリスやヒュースケンが使用していた品々や、当時ハリスたちが下田で何をいくらで買い物したのかをすべて記録したもの(!)まで展示されており、とても面白かったです。
ハリスだけでなく、吉田松陰の遺品や、玉泉寺再興に尽力した渋沢栄一に関する展示まで盛り沢山!
そして多くの人は学校教育で日米通商条約は不平等条約として学ぶと思いますが、実は日米通商条約を結んだハリスは常に日本の将来や繁栄を願い、日米ともに納得のいく条約であったことをこの記念館では伝えています。
関税自主権を犯したのは、英・仏・米・蘭で日米通商条約締結の8年後であり、ハリスと全く関係のないことだと伝えています。
玉泉寺住職の村上文樹さんは、きちんとハリスの実情を知り、功績を正しく理解することは日本人の義務であると言っています。そしてこのハリス記念館は、ハリスの実情を正しく伝える場所としてとても貴重な記念館です。
貴下の偉大な功績に対して、何を持って報くゆべきか。これに足るものは、ただ富士山あるのみ。
老中 安藤対馬守信正(ハリスに呈した謝辞)
下田を観光する際は、ぜひ立ち寄ってみてはいかがですか?
- 〒415-0013 静岡県下田市柿崎31-6
- 伊豆急下田駅より 徒歩25分
- 伊豆急下田駅より、バス須崎・爪木崎行 柿崎神社前下車 徒歩2分
- TEL:0558-22-1287
- 営業時間(ハリス記念館) 8:30~16:30
- 年中無休(臨時休館有り)
- 拝観料 大人500円 小人200円

弁天島
幕末、吉田松陰が異国を見聞するために密航しようと試みた地として、下田には吉田松陰ゆかりの場所が点在しています。
弁天島(べんてんじま)は、まさにここから吉田松陰が金子重之輔とともに小舟を漕ぎ出した場所です。
島といっても、現在は陸続きになっています。松陰たちが身を隠した祠のすぐそばまで行くことができますよ。



二人は異国船へ辿り着きますが、乗船を拒否され、やむなく陸に戻ってきます。その後は下田奉行所に自首し、投獄され、志なかばで死を遂げます。
日本にとって大きく歴史が動いたその場所に訪れ、松陰たちが見た景色を見ることができて、心にグッと迫るものがありますね。
ハリス記念館のある玉泉寺から歩いてすぐなので、ぜひ弁天島も散策してみてください。
まとめ

伊豆半島南東部に位置する下田。今回は市街地エリアと柿崎エリアの一部をご紹介しました。
下田は日本開国の歴史舞台だけあって、多くの資料が残っており、私たちが普段知ることのできない当時の様子をたくさん知ることができますし、実際に肌で感じることができます。
今回ご紹介した場所以外にも、まだまだ史跡や名所がたくさん残っている下田。下田温泉でゆっくり日頃の疲れを癒しながら、幕末の歴史探訪に出かけてみませんか?