皆さんは、京都にある豊国廟(ホウコクビョウ)と豊国神社(トヨクニジンジャ)をご存知でしょうか?
「ほうこくさん」の愛称で、親しまれている豊国神社(トヨクニジンジャ)は、出世開運の神様として豊臣秀吉公が祀られており、人気のある有名神社です。
その一方で、豊臣秀吉公の墓所である豊国廟(ホウコクビョウ)はあまり知られていないようです。
豊国廟は、豊国神社から、わずか1.7Kmの徒歩圏内にある、緑に囲まれ心静まる空間です。
太閤豊臣秀吉公の墓所・豊国廟と豊国神社の歴史
豊国廟は慶長3年(1598年)に伏見城にて63歳で薨去(コウキョ)された太閤豊臣秀吉公の墓所です。
御遺骸は遺命により、ここ阿弥陀ヶ峰(アミダガミネ)中腹に葬られました。
墳上には祠廟(シビョウ)、そして山腹には、後陽成天皇から正一位豊国大明神の神位と神号を賜り、壮麗壮大な豊国社が創建されました。
しかし、哀しいことに、元和元年(1615年)豊臣家滅亡後、徳川幕府の命により豊国社は廃棄され、御廟も空しく風雨にさらされたままとなりました。
その後、徳川幕府も崩壊し、明治13年(1880年)明治天皇のご沙汰により、方広寺大仏殿跡地に豊国神社は再建されました。
豊国廟は、明治30年(1897年)太閤豊臣秀吉公の300年忌にあたり、全国の浄財にて再建され、墳上には巨大な五輪塔(高さ約10m)が建てられました。
自然豊かな豊国廟

豊国廟は、海抜196mの阿弥陀ヶ峰の山頂にあります。
登拝料100円をお納めして入山します。

廟に延びるまっすぐな階段。段数は489段だそうです。

立派な唐門が見え、山頂かなと思いましたが。門の奥に階段が続いています。

門扉には、豊臣秀吉公の家紋である桐紋(五七桐)が彫刻されています。
五七桐は正親天皇より豊臣の氏を賜った頃に使い始めたようです。それ以前は、織田信長の家臣時代に信長より与えられた五三桐を家紋としていました。

階段を上りきると大きな五輪塔が見えます。
手を合わせると、大好きな秀吉さんに、少しお会いできたような気になりました。

ぐるりと一周する事ができます。

高台にあるため眺望もよく、清水寺を望むことができます。
豊臣秀吉公がお好きな方はもちろん。そうでない方も、自然豊かなマイナスイオンで心も体もリフレッシュされてはいかがでしょうか。
- 豊国廟
- 京都府京都市東山区今熊野阿弥陀ヶ峯町阿弥陀ヶ峰
- 登拝料:100円
- 駐車場:有り(1日500円)
豊国神社(トヨクニジンジャ)と国家安康の鐘

豊国廟から1.7kmとすぐ近く、京都の方には「ほうこくさん」の愛称で親しまれている豊国神社。
豊國大明神の鳥居をくぐると、目の前がパッと明るくなるような清々しさを感じます。
御祭神は、前関白太政大臣 正一位 豊臣秀吉公ですから、とくに出世開運が有名な神社です。

鳥居をくぐると、正面にある国宝の唐門がひときわ目をひきます。
この唐門は伏見城の遺構と伝えられ、二条城から南禅寺の金地院を経て移築されたもので、西本願寺、大徳寺の唐門とともに国宝三唐門の一つとされています。

唐門からは威圧感があるわけではないですが、威風堂々とした力強さを感じます。
上の二羽の鶴は目を入れると、本当に飛んでいってしまうということで目が入ってないそうです。

左側には、珍しいひょうたん型のたくさんの絵馬。
ひょうたんは秀吉公の馬印でした。現代風に言うと秀吉公のアイコンでもあったわけです。
大坂の陣のきっかけとなった「国家安康の鐘」

豊国神社は方広寺の大仏殿跡地に再興されているため、方広寺とは隣り合わせなわけですが、豊臣秀吉公が祀られる神社の、真横に豊臣家滅亡への引き金となった国家安康の鐘があるのには驚きました。
そして、こんなに綺麗な状態で残っていることにも驚きでした。


伏見城から移築された天井画も美しい。

徳川家康の怒りをかったとされる「国家安康・君臣豊楽」の銘。
鐘の銘以前から、豊臣家の落ち度があったようですが、それでもこんなに大きな鐘の中の、この小さな文章に難癖を付けるとは・・・。
そんな徳川家康からも、天下を取るという一種の気がいを感じ、戦国時代の厳しさを垣間見ることができたような気がします。
その他にも豊国神社には豊臣秀吉公ゆかりの遺宝を展示した宝物館もあるため、参拝だけではなく見どころも満載です。
- 豊国神社
- 京都府京都市東山区茶屋町530
- 宝物館:【開館時間】9:00〜16:30 【入場料】大人300円・大学生 高校生200円・中学生 小学生100円
- 駐車場:有り(無料)
まとめ
豊国廟と豊国神社は、お参りだけでも、とても心地よい空間です。
そして歴史に触れるという意味でも、とても貴重な場所だと思います。
豊国廟と豊国神社の距離は近く、2〜3時間で豊臣秀吉公巡りができる、おすすめスポットです。
京都にご旅行の際に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。