日々の生活の中で、人間関係や自分自身に対しても疲れてしまうことってありますよね。そんな時、ふと目にした言葉で心が軽くなることがあると思います。
そしてその言葉をおまじないのように、大切に胸にしまい、時々思い出してはまた活力をもらう、なんて方もいるのではないでしょうか。
今回は女性作家さんの著作から、3つの言葉をご紹介します。
人の悪いところばかり気になってしまうとき
人の欠点ばかり目に入ってしまうなんてつまらんよ。優しい気持ちで人と接してよ。
向田邦子(むこうだ くにこ・テレビドラマ脚本家/小説家/エッセイスト)
1960〜80年代にわたってホームドラマ作品の脚本家として、活躍された向田邦子さん。この言葉は、向田邦子さんの本のあとがきにかえて、妹さんが邦子さんのこの言葉を紹介されていました。
向田さんの小説に出てくる人物や、エッセイで書かれる身近な人たちは、とても人間臭くて魅力的です。向田さんの厳しかったお父さんのエピソードさえも、クスッと笑えて「なんかいいなぁ」と思えます。
それは、向田さんの人を見る目が、長所も短所も、その人をかたち作る個性だと捉えていたからではないでしょうか。

気を遣いすぎて疲れてしまったとき
いい人ばっかりしてちゃダメだよ
たまにはウソをついたり
はみ出したりしなきゃ
病気になっちゃうからね
朴 慶南(パク キョンナム・作家/エッセイスト)
在日二世として日本で活動している朴さん。著書の多くは、命の大切さや人間の尊厳、一人ひとりがかけがえのない存在であることを、やさしい言葉で伝えてらっしゃいます。
取り扱われているテーマは少し重たいですが、朴さんの温かくてやわらかい言葉で、モヤモヤしていた気持ちがどんどん和らいでいきます。

自分がなんだか空回りしていると感じたとき
優しみは公平であろうとする精神から出ずるように見えた。ちょっとした発見だった。理由なく優しくされるのは、居心地が悪い。しかし公平に扱われるのは、気分がいい。
川上弘美(かわかみ ひろみ・小説家/俳人)
この言葉は、川上弘美著作「センセイの鞄」という小説に出てきます。
主人公であるツキコさんと、ツキコさんの高校時代の元教師は、恋愛に発展しそうな良い関係。30も年の離れたセンセイの、自分に接する態度についてのツキコさんの気持ちです。
「センセイの鞄」は、第37回谷崎潤一郎賞を受賞したベストセラー作品です。

まとめとして
いかがでしたか?
女性作家さんならではのやさしく真を突いた言葉が、モヤモヤした気分や疲れた心に、少しでも癒しを与えてくれたのではないでしょうか。
エッセイや小説を読んだ時に、自分の中にスッと入ってくる言葉は、そのとき自分に必要な言葉なのかもしれませんね。