弘法大師・空海を知る/高野山ってどんなところ?



先日、高野山へ参詣してきました。

高野山って、名前は聞いたことがあるけれど、そこはどんなところで、何があるのか、実はよく知りませんでした。

ただ、あまり仏教などに詳しくない私でも、実際に訪れてみると、

町全体が真言密教の修行場としてひらかれていて、

私たちが普段住んでいるところとは別世界であり、神聖だけれど、なんだかワクワクする場所でした!

高野山ってどんなところ?

大門

高野山は、唐で密教を授かった空海によって開かれた日本仏教の一大聖地です。

開山の目的は2つあり、

  • 鎮護国家を祈る道場として
  • 仏道修行者の道場として

これらを叶える場所として、一番適していると判断されたのが高野山だそうです。

そして空海亡きあとも、御入定(ごにゅうじょう)といって、弘法大師・空海が高野山の奥の院で永遠の瞑想に入られ、

われわれを救い続けてくれていると言われています。

その証拠に、弘法大師・空海はこんな誓願を残しています。

虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、

我が願ひも尽きん。

『性霊集』巻八「高野山万灯会の願文」

訳すと、「万物が存在するこの宇宙がつきはて、生きとし生けるものがみな解脱をえて仏となり、涅槃を求めるものが皆無となったとき、私の願いは終わる。」

訳でもちょっとわかりづらいなぁと思い、さらに調べてみると…

解脱とは、本能に基づく迷いに心を縛られている状態(煩悩)から脱して自由になること。

涅槃(ねはん)とは、煩悩の火が消え、人間が持っている本能から解放され、心の安らぎを得た状態のこと。

要は、人々の迷いや苦悩がなくなるまで(=悟りをひらく?)、空海は瞑想を続けるということでしょうか。

高野山は、今もなお弘法大師・空海が、私たちのためにお祈りを続けている場所であり、また、仏道修行者の道場として機能しつづけている場所なんですね。

見どころ1:金剛峯寺

とはいっても、今は観光地としても有名な場所となっていて、楽しめるスポットがたくさんあります。

まずご紹介したいのは金剛峯寺

金剛峯寺の入り口

金剛峯寺は、高野山真言宗と高野山全体の総本山だそうです。

かつては青巌寺(せいがんじ)と呼ばれ、豊臣秀吉が亡き母・大政所の菩提のために建立されたとのこと(明治2年に金剛峯寺改称)。

建物が大きくて、全体像が撮れませんでした…

これがとにかく立派な建物で、圧倒されました‼

建物は火事で幾度か消失し、現在の建物は1863年に再建されたものだそうですが、敷地の広さといい、立派な建物といい、やはり秀吉さんすごいなと思いますよね。

高野杉

金剛峯寺は内部を見学することができ、立派な高野杉襖絵蟠龍庭(ばんりゅうてい)、以前は修行僧のご飯が作られていたお台所など、

見どころがたくさんあり、じっくりと堪能することができます。

蟠龍庭

見どころ2:壇上伽藍(だんじょうがらん)

壇上伽藍への入り口

まず壇上伽藍についてですが、

和歌山県公式観光サイトによると、「密教思想に基づく曼荼羅(まんだら)の世界観を具現化したもの」だそうです。

ちなみに曼荼羅とは、密教で生まれた絵図で、仏様の世界や悟りの境地が描かれたものだそうです(出典URL)。

「曼荼羅」と検索すると画像がたくさんでてきますので、どんな絵図か気になる方は是非ご確認ください。

その曼荼羅の絵で表現されている世界を、現実世界で表現したものなんですね!なんだかスケールが大きいです。

壇上伽藍は広々とした場所に金堂大塔六角経蔵といった建物が並び、伽藍建立のきっかけとなった三鈷の松(さんこのまつ)があります。

三鈷の松

ほとんどの松の葉が2本のところ、この三鈷の松は3本の松の葉があるそうで、この3本の松の葉を見つけたら幸せが訪れると言われているそうです。

実際に、ここで3本の松の葉を探している人が多くいらっしゃいました。

私も少し探しましたが見つからず、残念に思っていたところ、お買い物をした法徳堂さんでいただくことができました!

財布に入れておくと金運アップだとか⁉

この壇上伽藍の敷地内は立派な建物だけでなく、緑も多く、とても気持ちのいい風が吹いており、

美しく威厳のある建物を見ながら、ゆっくり散歩するだけでも、心が洗われるような感じがしました。

大塔
西塔

見どころ3:奥の院

さて、高野山の中で、最も気が変わったなと思った場所が、奥の院です。

はじめにも書きましたが、この奥の院の一番奥にある弘法大師御廟で、今も弘法大師・空海が瞑想を続けていると言われています。

奥の院の入り口・一の橋

入り口である一の橋から奥の院までは約2キロあり、その参道には歴史上の人物の墓碑が建ち並んでいます。

織田信長や豊臣秀吉、明智光秀など、そのほかにもたくさんの諸大名のお墓が並んでおり、

敵味方関係なく同じ霊場に眠っているなんて、なんだか不思議な気持ちでした。

また、参道には立派な杉が立ちならび、霊場を歩いているはずなのに、とても気持ちよく、2キロもあっとゆう間に感じられます。

朝は特に気持ちがいい!
どこまでもお墓が続いてます…

参道を歩いていくと、御廟の橋(みみょうのはし)が見えてきました。

この先に、弘法大師御廟があるのですが、この橋の先からは撮影禁止です。

御廟の橋

弘法大師御廟では、お弟子さんたちが、空海生前と変わらず給仕を続けていらっしゃいます。

今回は1日2回行わている、御廟で待つ空海へ食事を届ける儀式を見ることができました。

見守る方がたくさん

高野山も栄枯盛衰はあったにせよ、こうして1200年もの間、当時と変わらない儀式が続けられているなんて本当にすごいなと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回ご紹介した場所以外にも、授戒体験・阿字観体験(瞑想)をしたり、宿坊に泊まったりもしたのですが、それはまた別の機会にご紹介できればと思います。

また、徳川家霊台高野山霊宝館など、まだまだ周りきれていない場所があるので、また高野山を訪れたいですね。

山の中に町がある、とても不思議な高野山。

そして、自然豊かで神秘的な空間の高野山は、仏教に詳しくなくても、とても楽しめる場所ですよ。

高野山

  • 〒648-0294 和歌山県伊都郡高野町高野山132 高野山真言宗 総本山金剛峯寺
  • ☎0736-56-2011
  • 各スポットに無料駐車場がありますが、どこかに停めてバス移動がオススメです。
  • 高野山内「諸堂共通内拝見」があり、6つの施設(金剛峯寺・徳川家霊台・大師協会での授戒・大塔・金堂)をお得に周ることができます。
  • 引用文献『弘法大師 空海の寺を歩く』監修 武内考善