自己肯定感と自己受容感の違いとは?黒柳徹子さんの生き方から学んだこと



皆さんは、自己肯定感自己受容感という言葉を聞いたことがありますか?

近年、世間では「自己肯定感を高めよう!」というようなことが言われており、耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

では自己受容感はどうでしょうか?

私は、自己受容なしに自己肯定はないのでは、と思っています。

ただ、どちらも抽象的でよくわからない!という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では黒柳徹子さんをお手本にして、自己受容感とは具体的にどういうことなのか考えていきたいと思います。

黒柳さんはLD(学習障害)だった⁈

アインシュタインもLDだったと言われています

皆さんもよくご存知の黒柳徹子さん。

元はNHK専属のテレビ女優として活躍され、その後、活躍の場は多岐にわたり、女優だけでなくユニセフ親善大使として、

また、『窓ぎわのトットちゃん』というベストセラー作家という一面もあるなど、本当にいろんな場面で幅広く活動されています。

ですが、実は、黒柳さんの幼少期は、今でいうLD(学習障害)だったと言われています。

実際、全く落ち着きがなかったために、小学校一年生になってすぐ、

「おたくのお嬢さんがいると、クラス中の迷惑になります。よその学校にお連れください!」と

小学校を退学になっていてるんです‼︎

当時の小さな黒柳さんは、疎外感のような、ほかの子とは違う、ちょっと冷たい目で見られている感じがしていたと、ご著書の中で書かれていますが、

ご両親の愛情や、転校先の校長先生との出逢いによって、

黒柳さんは「私はこのままの私でいいんだ」という自己受容感を育んでいったのではないかと思います。

校長先生からの言葉

黒柳さんのご著書『窓ぎわのトットちゃん』では、主に転校先の校長先生や級友とのエピソードが書かれています。

とても心暖まる素敵なご本なので、ぜひお読みいただきたいのですが、

この中から、黒柳さんの自己受容に繋がったのでは?と思うエピソードをご紹介したいと思います。

まず、新しい学校への入学が決まる前、初めて校長先生に会ったときのこと。

校長先生と2人っきりになって開口一番、「なんでも話したいことを全部話してごらん」と言われた黒柳さん。

そう言われて、もの凄く嬉しくなった黒柳さんは、なんと4時間も喋り続けました。

お話している間、校長先生は、否定したり退屈そうな素振りは一切見せず、

笑ったり、時には相槌を打ちながら、

他愛のない小学一年生の黒柳さんのお話を聞いてくれたそうです。

そして、お話が済むと「じゃ、これで、君は、この学校の生徒だよ」と言ってくれたそうです。

小さな黒柳さんの気が済むまで、大の大人が自分の話を一所懸命聞いてくれるという体験は、

自分を丸ごと、なんの条件もなしに受け入れられたという、大きな安心感をもたらしてくれたのではないかと思います。

入学してからも、相変わらず落ち着きのない黒柳さんは、

自分の好奇心を満たすために、いろんな事をしでかして、周りにもたくさん迷惑をかけたそうですが、

そんなときも、校長先生は黒柳さんが納得するまで話し合いをして、自分に向き合ってくれたといいます。

さらに、校長先生は、黒柳さんを見かけるたびに

「君は本当はいい子なんだよ」と声をかけてくれたそうです。

他の先生や、生徒の父兄からは黒柳さんへの苦情が寄せられていたであろうに、そんなことは一切言わず、

黒柳さんの好奇心旺盛でのびのびとしたところを、伸ばそうとしてくれたのではないでしょうか。

こうして黒柳さんは、悪いことやいたずらもたくさんしてしまうけれど、

そのこととは別の次元で「自分はいい子なんだ!」と自信をつけていったのではないでしょうか。

作家からの言葉

とあるオーディションが転機となった

もう一つ、エピソードを。

大人になった黒柳さんは、ひょんなことからNHKの専属女優として活動します。

まだ駆け出しの新米女優だったときのこと。

個性が強すぎて、その他大勢の役でもいつも役を降ろされており、

現場の人からいつもいつも「普通にして」「個性を引っ込めて」「日本語がヘン」などと言われていたそうです。

そんなある日、NHKはじまって以来という大がかりなオーディションを受けた黒柳さん。

その作品では「大人で子どもの声を出せる人」が求められていました。

子どもの声なんて出してみたことはなかったけど、台本を読んでみると自然に出るような気がして、自分の思った通りに演じようとオーディションに臨んだそうです。

結果は、なんと合格

ですが、今まで散々変だの何だの言われてきていたので、また降ろされるのではと、とても恐縮して、

「私、日本語がヘンですから、直します。しゃべりかたも、ちゃんとしますから」と作家の方に言ったところ、

作家の方はニコニコしながら、こう言ったそうです。

「直しちゃ、いけません。あなたの、その、しゃべりかたがいいんですから。ヘンじゃありません。そのままで、いて下さい。」

この作家さんの、この言葉に逢わなかったら、いくら元気で楽天的な黒柳さんでも、放送界には残ることはなかったに違いないと、

ご著書『トットチャンネル』に書かれています。

こうして幼少期や、若い頃にかけてもらった言葉を信じて、そのままの自分を受け入れてきたからこそ

今の、いろんな場面で活躍する黒柳徹子さんがあるのではないでしょうか。

あらためて「受容」と「肯定」とは

黒柳さんは、校長先生や作家さんの言葉にとても勇気付けられ、自己受容感が育まれていったのではないかと思います。

ここで冒頭の「自己肯定感」と「自己受容感」という言葉の意味をみてみます。

受容は、「受け入れて取り組むこと。」

肯定は、「物事をそのとおりだと判断して、認めること。」

肯定、つまりジャッジをする前に、まずは受け入れることが必要だと思いませんか?

自分の性格を好きと思えるか、また、良し悪しはさておき、まずは一旦受け入れる。私はこのままでいいんだと思えること。

その上で、「自分はどうしたいか?」と問いかけることが大事なのではないかと思います。

自分を卑下することなく、いいところもダメなところも丸ごと受け入れて、ありのままの自分で過ごすって

なんて清々しい生き方なんだろう…と思います。

大人になってしまった私はどうしたらいい?

黒柳さんは、幼少期や比較的若い頃に、他人から受け入れられるという体験をしたからこそ、自己受容感を育むことができた。

じゃあそういった体験がないまま大人になった人や、大人になってから自己受容感を育みたいと思った人はどうしたらいいの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

かくいう私もその1人なのですが、まずは自己を受容することを、自分で訓練するしかないのかな、と今は思っています。

私の話になってしまいますが、舞台俳優としての訓練を受けていたとき、信頼する方から「思考はクセだよ」と言われたことがあります。

クセということは、気づけば直すことができますよね。

なので「こんな自分はダメだ…」とか「自分の〇〇が嫌い」と思ってしまったときに、

「いやいや、そのままでいいんだよ。で、私はどうしたいかな?」と問いかけをする。

この繰り返しで、自分を少しずつ受け入れられるようになるのでは?と思っています。

黒柳さんのような大活躍はできるかわかりませんが、そのままの自分を活かせる道に繋がっていけば良いなと信じています。

最後に、この記事でご紹介した黒柳徹子さんのご本を紹介して終わりにしたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

  • 『窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子著 / 講談社文庫
  • 『トットチャンネル』黒柳徹子著 / 新潮文庫