高野山の魅力を知る。高野山不動院での宿坊体験・阿字観と朝の奥之院



ずっと気になっていた高野山。ようやく伺うことができました。

ゆったりとお寺に宿泊することにより、弘法大師空海の凄さと、いまなお色あせることの無い高野山の魅力を十分に体感することができました。

今回は高野山での宿坊体験をご紹介します。

みなさん宿坊ってご存知ですか?

あまり聞き慣れない言葉、宿坊(しゅくぼう)。

元々の成り立ちは時代によって様々ですが、現在は、お寺の参拝者や観光客が宿泊することのできる寺院内の宿泊施設のことを指す場合が一般的なようです。

宿坊に泊まることによって、朝の勤行(ごんぎょう/僧侶が行う朝のお勤め、法要のこと)に参加できたり、宿坊によっては、写経体験や阿字観(あじかん/禅宗のお寺では座禅と言います。)といって瞑想の体験ができます。

もちろん精進料理も楽しめますよ。

少し敷居が高く感じますが、まったくそんなことはありませんでした。

宿坊は、私たちの普段の生活から見ると、非日常的ですが、静寂な空間で心静かに過ごすことができる癒しの場所でした。

ちなみに高野山には51の宿坊があるそうです!!

高野山 不動院

高野山 不動院山門

高野山 不動院は、弘法大師空海彫像の不動明王(秘仏)を本尊とし、延喜7年(906年)済高大僧正が西谷に開基した12ヶ院のひとつで大変歴史的な寺院です。

そんな歴史的寺院に宿泊させていただきました。

お部屋も広く、寺院内はすみずみ、どこも綺麗になさっています。

お寺の方がチェックインから食事の給仕まで対応くださいますが、皆さん丁寧で優しく、それだけでも心が安らぎます。

美しい庭
特別な部屋も見学できます
貴重な美術品の数々

宿坊内には、仏教の資料・本のあるライブラリースペースや、たくさんの美術品・、美しい庭と素敵な空間がたくさんあります。

美味しい精進料理と歴史的な食堂(じきどう)

夕食の一品
夕食の一品
朝食

夕食、朝食ともに、もちろん精進料理です。

夕食は、どの料理も目に美しく、味付けも抜群でした!!

朝食も、とても美味しく、朝からご飯をおかわりしてしまいました・・・。お米も美味しかったなぁ・・・。

400年以上の歴史がある食堂

また、食事をいただいた部屋は、安土桃山時代の建築だそうです。

和歌山県指定文化財にも指定されている不動院書院を食堂として利用されていました。

重厚で暖かみのある建物が、よりいっそう食事の時間を盛り上げてくれます。

朝の勤行と阿字観(あじかん)

右側が本堂

朝6時50分、朝の勤行に参加するため、本堂に伺います。

朝の澄んだ空気が全身を巡ります。(朝の勤行の参加は希望制です。)

住職の読経が厳かにはじまり、後半は般若心経を一緒にお唱えさせていただきます。(般若心経が記されている朝の勤行集をお借りできました。勤行集には、合掌の作法から般若心経や真言等、興味深い内容が記されていました。)

勤行が終わり、その後、阿字観の作法を指導いただきます。

梵字・阿/阿字観掛け軸

阿字観とは、弘法大師空海によって伝えられた真言密教の瞑想法の一つで、瞑想により、自分を見つめ内観し、仏を感じ、世界と自分はひとつであると実感することだそうです。

阿字観の阿は梵語の一番目の文字、万物の不生不滅の原理の意味であり、宇宙の全てである大日如来を表す文字。

海外でも、脳科学分野で評価されている瞑想法の一つマインドフルネスのこと等も例にしてお話しくださいました。

作法としましては、阿字観掛け軸の前で、半跏趺坐(はんかふざ)で座し、起居礼(ききょらい)で少し心拍数を上げて、呼吸を整えながら瞑想に入っていきます。

真言宗では瞑想のことを定(じょう)と言い、瞑想に入ることを入定(にゅうじょう)、瞑想を終わることを出定(しゅつじょう)と言うそうです。

住職からは、「すぐに深い瞑想に入ることは難しいので、ゆっくりと呼吸を整えるうちに、虫の音、鳥のさえずりなどが秋の訪れなどを教えてくれます。私もともにここに居るのだなと思える程度で大丈夫です。」とアドバイスいただきました。

金剛鈴の音とともに、ゆっくりと出定しました。

驚くほど、心と体が内からすっきりと軽くなりました。

直接指導いただける、高野山での阿字観体験は、絶対おすすめですよ!!!

  • 高野山 不動院
  • 住所:和歌山県伊都郡高野町高野山456
  • 電話番号:0736-56-2414

朝の奥之院

奥之院参道・20万基を超える諸大名の墓石

宿坊に宿泊することにより、早朝の高野山の凛とした気を感じることができました。

高野山の中でも奥之院は別格でした。前日も伺いましたが、どうしても早朝から伺ってみたくなり、翌日は、不動院の朝の勤行後に奥の院へ。

弘法大師空海が入定されている御廟までの2キロの参道には、日本人なら誰でも知ってるような有名武将や有名人の墓石がずっと続いており驚きです。

お墓なんですけど・・・、朝の空気の気持ちよさは最高でした!!「気持ちいいなー。来てよかったなー。」と何度声にしたかわかりません。

生身供(しょうじんぐ)が納められた唐櫃(からびつ)が運ばれる

奥之院の御廟で、今も生き続け、全人類のことを願い、入定されている弘法大師空海に、朝食として6時、昼食として10時半に生身供(しょうじんぐ)が捧げられています。

担当の僧が自身で勉強し献立も考えるそうです。(最近はパスタなども供されることがあるそうです。弘法大師空海も時代を感じていらっしゃるでしょうね。)

驚くことに1200年間、毎日続いているそうです。弘法大師空海への愛情と想いの深さが感じられ感動しました。

高野山には、人の優しさがあり、確かにそこに弘法大師空海はいらっしゃると感じさせてくれる、信仰の厚さが今なお生き続けていました。

  • 奥の院
  • 住所:和歌山県伊都郡高野町高野山奥之院
  • 電話番号:0736-56-2011(総本山金剛峯寺)