奈良時代の風を感じる【東大寺】大仏に込められた祈り/奈良を散策



奈良の観光地といえば、皆さんはどこを思い浮かべますか?

多くの方が、修学旅行などで一度は訪れたであろう、奈良の大仏や奈良公園の鹿を思い浮かべるのではないでしょうか。

この記事では奈良観光のど定番!世界遺産にも指定されている東大寺をご紹介します!

東大寺と大仏さま

東大寺「大仏殿」

奈良の定番観光地である「東大寺」の建立は、728年にまで遡ることができるといわれています。

時の聖武天皇が、皇太子の菩提を弔うために建てた「山房(サンボウ/寺の建物)」が発展したといわれており、その後、国分寺が造営され、大仏さまの建立や大伽藍が整っていく中で「東大寺」と呼ばれるようになりました。

奈良の大仏さま

そして奈良の東大寺といえば、大きな大仏さまですよね。

本尊の大仏さまは「毘盧舎那(ビルシャナブツ)」または「盧舎那仏(ルシャナブツ)」といいます。

当時は天然痘の流行などで不安定な社会となり、国家権力も失墜。そこで先の聖武天皇が、仏教によって国家の安泰をはかり、大仏さまを造ることによって世の中を救いたいと考えました。

大仏さまには「よき未来を招き、世界が平安で、生きとし生けるものが共に栄えて欲しい」との聖武天皇の祈りが込められているんですね。

朝のお掃除をされている方がいました

像高14.98メートルにもおよぶ大仏さま。やはり迫力が違いますね。

大仏さまと大仏殿の造立には、当時の人口の約半分(のべ260万人)もの人々が協力したとされ、完成まで約30年の月日がかかっています。

また東大寺はその長い歴史のなかで、焼き討ちや合戦による火災で二度も焼失し、いま私たちが目にしている東大寺は、江戸時代前期に再建された3代目の建物なんですよ。

  • 東大寺 本堂
  • 〈拝観時間〉4月〜10月:7:30〜17:30 / 11月〜3月:8:00〜17:00
  • 〈入堂料〉大人:600円 / 子ども(小学生):300円
  • 東大寺ミュージアムとのセット券あり 大人:1,000円 / 子ども:400円

東大寺の見どころ

東大寺は大仏さまだけではありません!

本堂の正門にある「南大門」も見どころの一つです。

南大門

一目でとても古い建物であることがわかりますね。

現在の南大門は、鎌倉時代初期の1199年に建てられたものだそうです。建立から823年も経つのですね。

古いけれど、とても立派で威厳があり、過去にタイムスリップしているような気になります。

金剛力士像・阿形(アギョウ)
金剛力士像・吽形(ウンギョウ)

そして南大門には、これまた立派な2体の「金剛力士像」がそびえ立ちます。

「東大寺の仁王さん」として親しまれている金剛力士像。像高は約8.4メートルと巨像ながら、わずか69日間で造られたというのも驚きです。

また、本堂内には大仏さまだけでなく、四天王のうち多聞天(タモンテン)と廣目天(コウモクテン)像もおられます。

多聞天
廣目天

この二体も威厳があり、思わず見入ってしまいます。

四天王は東西南北の四方を守護する護法神のことです。本堂には四神いる四天王のうち二神しかおられませんが、多聞天と廣目天の他に、持国天(ジコクテン)と増長天(ゾウチョウテン)がおられます。

四天王が揃って見られるのは、東大寺境内にある戒壇堂(カイダンドウ)となっています。

東大寺は散策にも最適

東大寺の境内はとても広く、散策するにも最適です。

まず大仏殿の東方には、東大寺創建時に鋳造された梵鐘と鐘楼があります。

梵鐘と鐘楼

さらに奥へ進むと二月堂があります。二月堂へと続く道も、とても風情があり、つい写真を撮りたくなる風景が広がっています。

石段を登った先に二月堂があります
二月堂

二月堂は8世紀中頃に創建された建物。こちらも古いですね。

高台に建つ二月堂は、修二会(シュニエ)と呼ばれる法要が旧暦の2月1日に行われていたため「二月堂」という名前が付けられたとのこと。

この法要は現在も行われているそうですよ。

二月堂からの景色

二月堂からは奈良の町を一望することができ、とても気持ちいい!東大寺を訪れた際には、ぜひ二月堂の方まで足を運んでみてくださいね。

東大寺はとても広くて一回りするのも大変ですが、お気に入りのスポットが見つかるかもしれません。

奈良といえば鹿!

そして奈良といえば、鹿!ですよね。

奈良公園には約1,200頭の鹿が棲んでおり、その始めは、東大寺の近くにある春日大社創建の際に、茨城県の鹿島神宮の祭神「武甕槌命(タケミカヅチノカミ)」が白い神鹿に乗ってやってきたと伝えられています。

こんなに近くまで!
絵になりますね

二月堂への道中でも、ふと視線を感じた先には鹿がいる、なんてことも。

鹿はいたるところに!

鹿せんべいは店の外でも売られていますが、買うところを鹿に見られていると、買った途端に鹿の大群が押し寄せてくることもあります。

鹿せんべいは店の中で買い、鹿に隠しながら広い場所に出てからあげるのがオススメですよ。

まとめ

いかがでしたか?

意外と「大仏さまと鹿しか見るところがない」と思っていた方もいらっしゃるかもしれません。しかし今回紹介した場所以外にも、まだまだ歴史的建造物があります。

境内には東大寺ミュージアムも併設されていますので、東大寺に関わる歴史や文化、昔の人たちが残してくれた教えなどに深く触れてみませんか?

  • 華厳宗大本山 東大寺
  • 近鉄奈良駅より徒歩約20分 / 市内循環バス「東大寺大仏殿・春日大社前」下車徒歩5分
  • 〈東大寺寺務所〉〒630-8587 奈良県奈良市雑司町406-1
  • ☎︎ 0742-22-5511
  • 東大寺公式HP