二宮金次郎の名言から「人生の真理」を学ぶ



生きるうえで大切なことを教えてくれる、二宮金次郎の名言

積小為大(せきしょういだい)

二宮金次郎

これは、金次郎像でおなじみの二宮金次郎の言葉です。

小さなことが積み重なって、大きなことになる。だから大きなことを成し遂げようと思うなら、小さなことこそしっかりとやるべきだ。」という意味です。

この言葉は多くの会社が「社の理念」として掲げていますが、実は二宮金次郎の言葉だったのですね!

他にも、農民らしいこんな名言もあります。

キュウリを植えれば、キュウリとは別のものが収穫できると思うな。

人は自分の植えたものを収穫するのである。

二宮金次郎

「そんなの当たり前だよ!」と思った方もいらっしゃるかもしれません。確かにキュウリを植えてメロンを収穫しようと思う人はいませんよね。

しかし人間に当てはめてみるとどうでしょうか?

自分が努力した相応の結果しか得られない、自分がやったこと以上の結果は得られないということです。

このような名言を残した二宮金次郎。

薪を背負いながら勉強する二宮金次郎の銅像は、多くの公立小学校に置かれたことから、その名を知っている人はたくさんいると思います。

けれど、実際に何をした人なのかあまり知られていないのではないでしょうか。

神奈川県小田原市/「報徳二宮神社」の金次郎像

二宮金次郎ってどんな人?

人生の真理を10代後半の頃には体得していた!

二宮金次郎は裕福な農家に生まれましたが、幼少の頃に起きた水害で田畑の大部分を損失。父が田畑の回復に尽力しましたが、金次郎が16歳のとき、両親ともに亡くなってしまいます。

二人の弟とも引き離され、金次郎は伯父の家に引き取られます。

できるだけ伯父の厄介にならないよう懸命に働き、日中に終わらなかった仕事は真夜中までかかって仕上げました。

またその頃、金次郎は『読み書き計算ができなければ農家経営もできない』との思いから、仕事が終わった深夜に、友人から譲ってもらった本で勉強に励みます。

ある日、その姿を伯父に見られ「貴重な灯油を役に立たない勉強に使うのはなにごとか」とこっぴどく叱られてしまいました。

金次郎は『伯父の言うことはもっともだ』と思い、自分の力で明かりを灯せるように菜種を育て始めます。それも自分の休みの日に、川岸のわずかな荒地を耕し、他家が捨てた苗を拾い集めて栽培しました。

そして一年後には、たくさんの菜種を収穫し油屋で燈明油と交換。『これでまた勉強ができる』と思ったのもつかの間、ふたたび伯父から「おれが面倒をみているのだから、お前の時間はおれのものだ。読書のような無駄なものに時間を使うな」と、叱られてしまいました。

これも当然だと思った金次郎は、それ以後、伯父の家のために山へ薪を取りに行く道中で勉強に励みました。

この逸話が、あの銅像のモデルとなっています。

伯父の元では満足に勉強することができませんでしたが、荒地から菜種を収穫できた経験で、自分の知恵と努力さえ惜しまなければ「自然」は正直に努めるものの味方であることを学びます。

そして、どんなに小さな努力でも積み重ねていけば、やがて大きなことを成し遂げるという真理を、なんと10代後半で体得したのです!

異例の抜擢とその後の活躍

20歳の頃には伯父の家を去り、荒れ果てた生家へ戻り再興を図ります。必死の努力で、再興までにかかった年月はわずか5年でした。

その後、小田原城下で武家奉公人として働き、のちの信用組合のはしりとなる「五常講(ごじょうこう)」という金融相助制度を始め、その才覚が表れていきます。

そして小田原藩主・大久保忠真にその能力を見込まれ、財政難に苦しむ栃木県桜町領の財政再建を託されます。「士農工商」の身分制度の厳しい江戸時代において、一農民である金次郎の抜擢は極めて異例でした。

この桜町領の再建は、苦節10年という難事業でしたが、全国でもっとも貧しかった村がとても豊かなになっただけでなく、何年にも及ぶ飢饉の備えも充分に蓄えるまでになったのです!

この桜町領再建の成功で、金次郎の名声が世に知れ渡るようになり、各地から再興事業の依頼が殺到するようになりました。

金次郎の一生の間に再興させた村の数は、現在の9県と北海道にまたがる約600カ村におよぶといいます。

まとめとして

金次郎の肖像が入った一円札

自分の置かれた困難な状況に負けず、いまの自分にできることを考え、精一杯の努力を積み重ねた金次郎。「積小為大」という短い言葉には、金次郎の強い実感が込められているのがわかります。

また、「キュウリを植えれば、キュウリとは別のものが収穫できると思うな。人は自分の植えたものを収穫するのである。」という言葉も、自分を律する厳しい言葉というだけでなく、自分のやっていることを信じ、勇気づけるための言葉のようにも感じます。

二宮金次郎のこれらの言葉は、自分が何かに挫けそうになったときに、もうひと踏ん張りする力を与えてくれそうですね。きちんと目標さえあれば、地味で小さな仕事でも、いつか自分らしい花が開くのではないでしょうか。